アンティークコインの世界で女王といえば英国のヴィクトリア女王が有名であるが、その後時代に活躍したオランダのウィルヘルミナ女王も58年の在位(1890-1948)で少なくないコインを発行した。ヴィクトリア女王のコインはすでに大人気で、なかなか買えない価格まで跳ね上がっているので、次のブームとしてウィルヘルミナ女王を狙うのはどうかと考えている。
1911,12,13,17年発行の10Gulden金貨は、流通用(鑑定ではMS、AUなどで表記される)では、最小発行年度でも1911年の77万枚発行という、ありふれたもので数100USドル程度で取引されているが、写真の金貨は、特別に作られた(王室関係者への贈答用だろうか)、1911年発行のプルーフ貨で、公式な発行枚数はたった8枚という希少さである。そのなかでも下名が所有するコインは、NGC社からPF66という最高鑑定をいただいている(NGCでは2枚、PCGSでは1枚がPF66)。1911,12,13,17年発行のプルーフシリーズの中でもこの8枚というのは最小枚数で、かつPF66は最高鑑定である。
発行枚数
Netherlands 10 Gulden KM 149 Prices & Values | NGC (ngccoin.com)
これがビクトリア女王の金貨ならどれくらいするだろうか。サイズ感や残存枚数が同等なところで探してみると、6~10枚存在すると考えられるヴィクトリア女王の1887年発行ソブリンパターン金貨 PR67DC最高鑑定品が、2022年に$90,000(約1300万円)で落札されている。ウィルヘルミナ女王の希少金貨も今後の評価見直しに期待したい。
また、ウィルヘルミナ女王は幼くして即位したため、幼年期から老齢期までの何種類かの肖像が楽しめるのも良い。これはスペインのアルフォンソ13世も同様で、こちらも細々とだが、集めている。
<ウィルヘルミナ女王>
ウィルヘルミナ女王は、第一次世界大戦では中立を堅持したが、第二次世界大戦ではドイツに侵入されてロンドンへ亡命し、1945年にハーグに帰還した。戦後はインドネシアなどの海外権益の多くを失った。ウィルヘルミナ女王は幼くして即位したため、幼少期の肖像からはじまって、しだいに変化していく様子が見られる。戦前では、10Cents以上の額面の銀貨と、5および10Guldenの金貨に彼女の肖像が描かれている。戦後は、1Gulden以上が銀貨で、1Ceentから女王の肖像が描かれている。硬貨周辺に見られる銘文「WILHELMINA KOININGIN DER NERDERLANDEN」は「ネーデルランドの女王ウィルヘルミナ」という意味である。(平木啓一:「世界アンティークコイン大事典」より引用、要約)
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