ターラー銀貨とドル、日本との密接な関係

米国の通貨単位であるドル(Dollar)の語源は中世ヨーロッパのターラー(Thaler)です。時の皇帝や街の風景などが描かれた、直径40mm程度の大型のターラー銀貨は、コレクターにも人気があります。

ターラーは、かつてボヘミア(チェコ)の「ヨアヒムスターレル(ヨアヒムの谷)」という銀の鉱山で鋳造された銀貨「ヨアヒムスターラー(Joachimsthaler)」の名に由来します。この銀貨が北米に渡り、スペイン領の南部で使われていた銀貨「レアル(Real de a Ocho)」と混ざって「ドル」と呼ばれるようになりました。

ターラーは、ヨーロッパでの銀の発見や、新大陸などからの銀の流入、ヨーロッパ規模での商業圏の一体化の進展等により、広く通用する通貨となりました。各国で様々な種類が発行されましたが、最も有名なものの1つはマリア・テレジア・ターラーです。これは、オーストリア女帝マリア・テレジアが1741~1780年に発行した銀貨で、欧州だけでなくアメリカや中東でも通用しました。この銀貨は20世紀前半までエチオピアやオマーンの通貨として使われていました。

ターラーは、ドルやペソなどの現代の通貨にも影響を与えました。例えば、アメリカ合衆国では、独立戦争の時にスペイン・ドル貨を償還通貨として選び、その後ドルを正式な貨幣単位としました。スペイン・ドル貨は、ターラーと同じ重さと純度を持っていたからです。

いっぽうで、ターラーは日本とも関係があったのです。それは主に貿易銀としての役割にあります。貿易銀とは、国際貿易で決済に用いられる銀貨のことで、ターラーはその代表的なものです。日本では、江戸時代に鎖国政策をとっていましたが、唯一オランダと長崎で貿易を行っていました。この貿易でオランダからターラーももたらされました。また、ターラーは中国や東南アジアでも通用する通貨でしたので、日本では朱印船貿易や対馬藩の朝鮮通信使などを通じても流入していたのです。

このようなことに思いをはせて、神聖ローマ帝国などのターラーを収集するのも興味深いものです。

 

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