スペイン王フェリペ5世のコイン

私のコレクション(まだまだ道半ばだが)で気に入っているのが、スペイン王フェリペ5世やフェルディナンド6世が中南米の植民地諸国(メキシコ、ペルー、チリ、ボリビア等)で発行した8エスクードの大型金貨である。他のスペイン王も同様の金貨を発行しているが、特にフェリペ5世の良質なコインが非常に少なく、コレクターにとって希少性の高いアイテムになっているのである。特に王の肖像が描かれているものは特に人気が高い。

南米植民地では、スペインは16世紀から17世紀にかけてインカ帝国やアステカ帝国などの先住民文明を征服し、豊富な金や銀などの資源を獲得した。スペイン国王フェリペ5世は、1700年から1724年まで、そして1724年から1746年までスペインを統治した初代ブルボン朝国王である。在位中に南米で発行されたコインに、デザインと価値の両面において大きな影響を与えた。

フェリペ5世は南米植民地でスペイン本国と同じ価値のレアルを発行する際に、自分の肖像や紋章を刻印することで、自分の権威を示そうとした。また、世界的な通貨となり、貿易や商取引に広く使用されたスペイン・ドル(別名ピース・オブ・エイトまたはペソ)の導入が挙げられる。スペイン・ドルは8レアルに相当し、リマ、ポトシ、メキシコシティ、ボゴタなど南米の様々な造幣局で鋳造された。

彼の貨幣制度改革では、金貨と銀貨の交換レートを固定し、両金属の重量と純度を引き下げた。この改革は、スペインから他国への金銀の流出を防ぎ、シニョリッジによる王室の歳入を増やすことを目的としていた。しかし、南米ではインフレと通貨切り下げを引き起こし、社会不安と経済的困難を招いた。

冒頭に紹介した8エスクード金貨。このコインは、表にフェリペ5世の肖像と「PHILIPPUS V D G HISPANIARUM ET INDIA REX」(スペインとインドの王フェリペ5世)という銘文があり、裏には「INITIUM SAPINTIAE TIMOR DOMINI」(知恵の初めは神を畏れることである)という文字とスペイン王家の紋章が描かれている。
このコインは、 1732-47年にメキシコで鋳造され、スペインとその植民地の間の交易に用いられたほか、アジアやヨーロッパでも流通した。純金含有量が91.7%、重量は27.07グラム、直径は37ミリメートル。MS64という非常に状態の良いものになると、2009年のオークションで$54,625が記録されている。

 

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