ゴシッククラウンの驚くべき急騰

本日、海外の大手オークションサイトで3件のゴシッククラウン(1847年のヴィクトリア女王の大型銀貨)が落札されました。
とても美しく、人気の高い銘柄で、アンティークコインの収集家で知らない人はいないでしょう。
ここ数年もどんどん価格が更新され、私も1枚所有していますので、毎回価格が上がるのを楽しみに見ています。

今回はPR64+Cameo(PCGS)と、PF63(ANACS)、PF61(NGC)がすべて落札されました。
いずれもUNDECIMO Edgeと呼ばれる、ゴシッククラウンの中では一番ポピュラーなタイプです。
PR64+Cameoは比較対象が少ないので、ここでPF61の落札価格推移をみてみましょう。なお、落札価格はオークショナーの手数料(通常20%)込みです。

2021年5月 $10200 → 21年10月 $10500 → 23年1月 $11100, $13200 とこのあたりまでは横ばいでした。
さらに 23年5月には$17400 となります。
この価格をみて、いよいよ人気のアンティークコインの価格が上昇してきたと実感しました。

ところが、今回さらに驚くべき異変が起こります。
本日2023年6月21日のオークションで、なんと 【$32400】を付けたのです。
本品に特筆するプレミアムがあるのかと説明文を見ましたが、少しブルーっぽいトーンが入っているくらいです。といってもオークションの写真ではトーンが強調されていますが、修正なしの写真をみると、特別魅惑的なトーンを持っているようには見えませんでした。仮に珍しいトーンにプレミアムを支払うとしても通常の20-30%増しくらいではないでしょうか。それが今回は2年前の3倍、直近の1月前の落札価格と比べても約2倍です。こんな短期での値上がりは異常です。

なお、今回落札されたPF63のほうも$37200と直近の価格(2023年1月に$26400と$28800の2つ) より$10000ほど上がっています。今回のPF63はANACS鑑定のものでしたので、NGCやPCGS鑑定品ならもっと上がっていたと思います。

ほかのコイン(チベットの20スラン金貨など)も入札すべくウオッチしていましたが、やはり大幅な落札価格の上昇で手が出なかったです。
以上のような現象は、ゴシッククラウンに限ったことではないようです。

おそらく資産家たちがこぞって現金を現物資産に置き換えるべく、値段を厭わずに落札しまくっているのではないかと思います。おそらくこの流れは続くどころか、さらに加速しそうです。既存のコレクションが値上がりするのはうれしいものですが、買い足しができないのはつらいところです。

※)記載の落札価格に取り扱い手数料、送料、クレジット手数料、輸入消費税が加わり、さらに店頭に並べばショップの利益が上乗せされます。だいたい落札価格$32400の品は店頭では600万円くらいということになります。

 

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